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ことばとは何か [言語学・日本語学を学ぶ]

ことばとは何か (ちくま新書)

ことばとは何か (ちくま新書)

  • 作者: 田中 克彦
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/04/06
  • メディア: 新書
ことばが初めから完璧なものなら、それは変わらないし多様な形をとることもないはずだ。しかし実際には時間とともに姿を変えるし、地上には何千種類ものことばがある。社会規範に取り込まれながらも逸脱してゆく。このとらえどころのない対象に十九世紀言語学は生物学のように接近し、二十世紀構造主義はことばの変化に目をつぶったが実はこの変化にこそ本質があるのではないか。ことばを、自らの意思を持たない自然の性質と同時に、技術といった文化的性質をあわせもつものととらえ、当面する言語問題について考える。(Amazonより抜粋)
半分ぐらいが言語学史について、そして最後の章で言語問題について書いてあって面白かったです。

私は生成文法を中心に学んだので、それ以前の歴史についてはざっとしか教わらなかったので、こんな薄い本に書いてある内容でも知らない事が多くて面白かったのですが、やっぱり言語学史よりは言語問題について書いてある箇所の方が興味深かったです。

ただ、言語学者の立ち位置について書いてある部分で、あることばの使い方が正しいか間違っているかについて判決を与えるものではないとしながら、「言語学者から見ると、矯正すべき方言の方が標準語よりももっと正しい」とする部分が分からなかったです。結局正しいかどうか判断するのでしょうか?言いたいことは分からなくもないのですがちょっと矛盾を感じます。

また、言語問題について語っている箇所で、言語学と生物学を比較して、著者は次のような事を言っています。
たとえば、かつてこの地球上にさかんな生を営んでいた動物種、たとえばマンモスや、あるささやかな植物種が消え去ることと、言語が消え去ることが、どこまで似た現象としてなぞらえることができるかということは、考えておかなければならない。
消滅する言語』に書いてある内容などは、フィールドワークをする人の主張として理解できるのですが、生物界と同じように危機言語の保護を強く訴えることについては少し違和感がありました。とはいえ、どうしてそう感じるのかは自分でもよく分からなかったので、それについて言及してあるのを初めて読んだので勉強になりました。

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