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タイガーと呼ばれた子 [洋書を読む]

The Tiger's Child

The Tiger's Child

  • 作者: Torey L. Hayden
  • 出版社/メーカー: Harper Element
  • 発売日: 2005/05/03
  • メディア: ペーパーバック
タイガーと呼ばれた子―愛に飢えたある少女の物語

タイガーと呼ばれた子―愛に飢えたある少女の物語

  • 作者: トリイ ヘイデン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1996/09
  • メディア: 単行本
「トリイはあたしを捨てたんだ!」 セラピストとなった著者が7年後にめぐり会えたシーラは、かつての信頼関係を憶えていないという。真の癒しを見出すまでの二人の葛藤を描いた、「シーラという子」の続編。(Amazonより抜粋)

やることがたくさんあって全然時間がないのに、誘惑に負けて最後まで読んでしまいました。『シーラという子』の続編です。

日本語版を読んだときは、若かったからという事もあるのでしょうが、『シーラという子』の方が断然好きでした。でも今回読み返してみて、こちらの方が断然いいですね。

今回、著者のWebサイトを見たのですが、そこには、本の中に出てくる人達のその後や、本人からのメッセージがありました。著者と一緒に働いていた季節労働者は、その後、教育学の学士、特殊教育の修士を取りました。手伝いにきていた中学生は、児童心理学の博士になりました。元ボーイフレンドは、自分の最初の子供に「シーラ」と名づけました。著者は、シーラがその後送ってきた詩を大切に飾っていました。彼らにとって、シーラ達と共に過ごした時間は人生の中でかけがえのないものだったことは明白です。しかし、子供達にとってはどうだったのでしょうか?物語とは違う難しい現実が、この本に書かれています。

前作では教師と生徒だった2人の関係が、今作でより母と子のものになっていきます。お互いがお互いを大切に想い、特にシーラが、その存在をどれだけ必要としていたのかは簡単に想像できますが、結局母にはなることができない事実が別の問題や葛藤を生むのが悲しいですね。父親がトリイに、「あなたが現れてからシーラはおかしくなった。だからもう会わないでくれ」というところや、シーラが遠くまで実母を探しにいき、トリイが迎えに行ったときに、「なぜ両親ではなくてただの先生が来るんだ」と自分の環境を嘆く姿、最後に「子離れをしなよ」という風にトリイに言うシーラの姿がなんだかやるせないです。

最後の最後で、トリイが「シーラのその後の人生は私が選んだものとは違う」と書いています。それは教師として、それとも心理学者として、それとも母としての言葉なのでしょうか。ぜひ聞いてみたいものです。

 


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