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少年H [和書・翻訳書を読む]

少年H〈上巻〉 (講談社文庫)

少年H〈上巻〉 (講談社文庫)

  • 作者: 妹尾 河童
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 文庫
少年H〈下巻〉 (講談社文庫)

少年H〈下巻〉 (講談社文庫)

  • 作者: 妹尾 河童
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: 文庫
『大人も新聞もウソつきや』愛と笑いと勇気の物語。著者初の書き下ろし長編小説。(Amazonより抜粋)

本の名前だけで内容はまったく知らなかったのですが、戦争時のお話だったのですね。

この話は、少年Hである著者が「書いたことはすべて記憶に基づいた真実」としているにもかかわらず、当時では知りえなかったことなどがたくさん含まれていて、言ってることと違うという点が問題になったそうですね。

しかも本まで出てる…。

間違いだらけの少年H―銃後生活史の研究と手引き

間違いだらけの少年H―銃後生活史の研究と手引き

  • 作者: 山中 恒
  • 出版社/メーカー: 辺境社
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 単行本

 

『少年H』を読んだ感想は、戦争を体験した人が当時感じていた想いを知るという意味ではいい本なのではないかなと思います。もともと、あの時代に生きた人がみんな同じような体験をし、同じように感じ、同じように考えるわけでもないため、ひとつの話の細かい部分を持ち出してどこが間違っているのかという必要はないんじゃないかと思います。ただ、著者が、事実に基づいたフィクションではなく、「記憶に基づいた真実」と断言するのであれば、この行動も必要不可欠だったのかもしれません。

この手の議論について思うことは、著者が「真実である」と断言さえしなければ、書くほうではなく、「100%真実」としてとらえる方に問題があるということです。だから、100%信じることも、ただ揚足を取るだけほうも、どっちも同じだけ「単純だな」と感じます。たとえ本人が「真実だ」と思っていても、大勢からみたら所詮一人の意見にしかならないため「絶対的な真実」にはなりえないのではないでしょうか。1つの事実に対する解釈だっていくつも出てくるじゃないですか。

本の内容では、「新聞、特に朝日新聞が戦況について真実を話そうとしない」という点と、「学校の先生達の態度が戦時中と戦後でぜんぜん違う」という点に興味がわきましたね。昔から同じように言われていますが、今の時代に「戦後処理」やら「国歌国旗」やら「靖国」やらを声高に主張する人達ですよね。彼らが、昔の『自分たち』のしてきたことを『日本人全体』の反省とすることで自分たちのしてきたことをごまかしているのか、『自分たちのしてきたことが繰り返されないように自分自身に厳しくなっている』だけなのかについては言及しませんが、どちらにしても一歩間違えればどちらにも転ぶ要素に成りかねない立場に常に置かれている点について、私たち一般人よりもしっかり考えてほしいなと思います。

 


タグ:小説 和書
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