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アメリカの多文化教育 [和書・翻訳書を読む]

アメリカの多文化教育―共生を育む学校と地域

アメリカの多文化教育―共生を育む学校と地域

  • 作者: 横田 啓子
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 1995/07
  • メディア: 単行本
学校区も学校も教師も独立しているアメリカの教育。実際に郊外の町を取り上げて、地域の生活と教室の授業の結びつきや、個々の教師の試みを個別的に紹介。多文化教育を通して、アメリカ社会の未来、日本の教育について考える。(Amazonより抜粋)

アメリカの大学で日本語教育に携わる著者が、移民の国・アメリカの学校が直面している白人・非白人間の差別などの問題にどう対応してきたかについて書いた本で、とっても分かりやすくておもしろかったです。日本でも、少子化問題が騒がれるようになって「労働力確保のために移民を」と安易に発言する人をたまに見かけますが、そういう人はこういう本をもっと読んでもう少し考えたほうがいいのではないかと思います。

日本を離れてから色々な国から来た人に色々な話を聞きましたが、彼らの話を聞いていると、多言語・多文化・多民族が共存することがいかに難しいかということが良く分かります。日本でも、意識的にも無意識的にも白人崇拝やアジア人蔑視の気持ちが働いていると思われる言動はよく聞きますが、それは日本人が「島国に住んでいて遅れているから」ではない事は、海外に出れば一発で分かることではないでしょうか。

だから、「安い労働力の確保」のためだけに外国人の受け入れに積極的になることは、私は反対です。そもそも、日本人がやりたがらないために中々人手が確保できず、それを外国人で補いたいなんて虫がよすぎますし、国策を考えるならより優秀な外国人を受け入れていくべきだし、そして、その優秀な人達に自分達の地位を脅かされることはないようにしなければと思うのが普通の感情だと思いますが、そんな都合よくいくわけはありません。

移民の国であるアメリカ、そして大国で多くの人にとって魅力的であるアメリカには、他の国以上に難しい問題があるのは容易に想像できます。そしてそれにどうやって対応しているのか、学校だけでなく、親や地域を巻き込んでどうやって対応しているのか、と言う事がこの本には書かれていました。

その国にはその国の歴史や文化があるので、日本のものと比べてどちらがいいかなんて簡単に言えるものではないし、アメリカの教育制度や学校にもたくさんの問題があるのは、色々なところで繰り返し言われてきたことだと思います。

でも、とにかくこの本を読んだあと、最近日本で問題になっている『家でしないといけないしつけを学校に押し付けている』といった点だけでなく、この本で書かれている『学校における教育を先生だけにまかすのではなく、親やまったく関係ない地域の人達が色々と参加していること、そして先生達自身が、目の前の問題や生徒から目をそむけず、正面からぶつかって解決策を模索している』点については、日本の学校教育が置かれている状況に比べると未来が明るいように思えて仕方がありませんでした。

この本は、10年以上前のものですが、この本に出てきた先生達は今でもがんばっているのでしょうか。状況はどのぐらい改善されたのでしょうか。そんな点に非常に興味がわいてきました。

 


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