手紙 [和書・翻訳書を読む]
強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。(Amazonより抜粋)
ミステリーだと思って読んだので、ちょっぴり肩透かしでしたが、全体的にはまあまあ面白かったです。
ただ、強盗殺人を犯す兄の手紙があまりにものんき過ぎてかなりイライラしましたね。弟の事だけが生きる望みなのは分かりますが、人を一人殺しているという罪悪感が最後にならないと見えてきません。塀の中というのは、世の中から隔離され、これほどまでにのんきに過ごせる場所なのでしょうか。
一方、兄が世の中から隔離されている間に弟が受けるさまざまな出来事は、けっこうやるせないものがあります。最終的には潰されてしまいますが、その前に色々なチャンスがめぐってきたりするところは、けっこうめぐまれていて幸せな環境だとも思いますが、そんな、他人よりもめぐまれている素質を持ちながらも、兄のために色々な仕打ちにあうことをどう思うかというところが大事な点なのでしょう。
全体的にはまあまあ面白かったのですが、差別を肯定するような話のもっていきかたや、背景設定などの細かな点がちょっと安易過ぎたかなという感じがします。
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